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□ 悪桜についてお教え下さい。・AYAKA (7/30 01:27) #473
 ├ 泣(注・回答ではありません)・佐々木卓 (8/2 19:57) #477
 │└ 関係無いかもしれないけど・唐佛 (8/2 22:08) #479
 │ └ 嗚々うろ覚え・佐々木卓 (8/3 13:00) #484
 │  └ 錦絵と映画で…・唐佛 (8/5 02:35) #488
 │   └ 絵の出典・唐佛 (8/6 02:40) #491
 └ 悪樓のようですよ。・唐佛 (8/3 04:40) #481
  ├ 自己レスです・唐佛 (8/3 05:49) #482
  │└ 自己レス2:大魚退治の捕足・唐佛 (8/3 07:00) #483
  │ ├ 自己レス3:婁の字の意味・唐佛 (8/3 13:53) #485
  │ └ (回答にあらず )スサノオ ・タキタ (9/29 01:43) #582
  └ 摩伽羅?・りん (8/4 22:56) #487
   ├ Re:摩伽羅?・唐佛 (8/6 02:56) #492
   └ 馬鹿?・りん (9/10 23:35) #553
    ├ 牛窓の「牛鬼」・りん (9/10 23:39) #554
    ├ バカの語源・りん (9/10 23:44) #555
    └ 「海鹿」・りん (10/10 02:47) #590


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#473悪桜についてお教え下さい。AYAKA mail home7/30 01:27

突然で申し訳ありませんが、
悪桜(あくる)について御存知の方は
いらっしゃいますでしょうか?
――うろ覚えであまり確かなことは云えないのですが、
ヤマトタケル関連だったような気がするのですが…。
出典や細かい内容などお教え下さるとありがたいです。
日本神話系のHPを作っているもんで、
こういうのってすごく気になってしまうんです。
よろしくお願いします(泣)。

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#477泣(注・回答ではありません)佐々木卓 8/2 19:57
#473
 実は私も以前より悪桜について調べているのですが、わんぱく王子がなんたらかんたらとかいうお子様向けアニメ映画(ヤマトタケルが主人公)以外で、「悪桜」の名を目にした事が無いのです。
 あ゛あ゛っ!誰か情報下さいませ。

 そもそも「アクル」ってどういう意味なん?まさか「青いウル○ラマン」とは関係ないよね。

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#479関係無いかもしれないけど唐佛 mail 8/2 22:08
#477
『わんぱく王子の大蛇退治』(昭和38年・東映動画)に登場する怪魚アクルは漢字表記がないのです。
ちなみに主人公はヤマトタケルではなくてスサノオです。

名前が近いのに“アクロヌシの火”という妖怪が水木先生の画集にあったと思うけど…
または、田村麻呂伝説に出てくる蝦夷の酋長・悪路王(あくろおう)とか、「御伽草子」の登場人物に阿黒王があった気もするけど関係ないか…

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#484嗚々うろ覚え佐々木卓 8/3 13:00
#479
 あ、スサノオざましたか。私がアクルを知ったのは小学校の頃、ケイブンシャの「世界の怪獣大百科」でして、それから古事記やらなにやらでアクルを探したのですがいっこうに見つからず、長年疑問に思っていたのですが、「続妖怪大全」に漢字表記で紹介されていたので、「おりょ?」と、思っていたのですが…。
 う〜む、どっから出てきたんでしょうね?

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#488錦絵と映画で…唐佛 mail 8/5 02:35
#484
そういえば、昔なんかの妖怪図鑑にのっていた年表に、日本武尊の大魚退治の錦絵が載っていた。
出典がわかれば追跡できそうですね。

あと、日本武尊が主役の映画「日本誕生」ではこのくだりがあったのかなあ?

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#491絵の出典唐佛 mail 8/6 02:40
#488
多分、水木先生も参考にされたと思われる「日本武尊悪魚を退治す」の図の出典をみつけました。
弘化四年刊「金毘羅参詣名所圖会 巻之四」です。
この伝説に対してかなり詳細な内容がこの伝説に対して書かれています。
ただし、大魚の名前は“悪魚”とだけしかありません。
かながふってありますが、読みようによっては“あくる”と読めるかなという程度でした。

同様の本で「讃岐名勝圖会 巻之八」というものもありましたが、ここでは大魚は海賊の名前(つまり人名)であるという説をとっていました。

まだ“悪樓”は出てきません…

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#481悪樓のようですよ。唐佛 mail 8/3 04:40
#473
まず、水木しげるの「妖鬼化」3巻P193によると、正確な漢字は大魚“悪樓(楼)”が正解。桜は誤字です。
吉備国の穴海に住む巨大魚だということになっています。

紀記に出典があるというので記事に相当する該当箇所を見ると
「日本書紀」では九州征討の帰りの所にあり、巻七大足彦忍代別天皇二十七年条の最終箇所が該当記事です。
引用すると「到吉備以渡穴海其處有悪神則殺之」「唯吉備穴済神及難波柏済神皆害」
「古事記」では出雲征討の帰りの箇所で、中巻景行天皇条に該当記事があります。
引用すると「然而還上之時山神河神及穴戸神皆言向和而」
と書かれています。

どちらも魚とも“悪樓(楼)”の文字は原典にはないのですね。
さて、大魚悪樓はどこで誕生したのでしょう?



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#482自己レスです唐佛 mail 8/3 05:49
#481
日本武尊と大魚に関する伝説は、四国八十八ケ所の七十九番金華山高照院高照寺(通称天皇寺・崇徳天皇終焉の地にちなむ)縁起に関係あるみたいです。
日本武尊(またはその子・讃留霊王)が瀬戸内海に巣くう悪魚を退治したとき88人が毒気にあてられたが、横潮明神が童子に化してあらわれ、泉水をもって毒を治療した。
八十八人が蘇生したため以来、八十八(矢蘇場)という地名になったという伝説がありますが、相変わらず“悪樓(楼)”の名前は出てきません。
が、“楼”という字には八十八(米)という字が含まれ、魚ということで寺に関係ある“木魚”も連想されますね。
このへんが名前の由来かな?

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#483自己レス2:大魚退治の捕足唐佛 mail 8/3 07:00
#482
補足資料です。
『古代氏族系譜集成』所収の綾公関係の系図には、日本武尊の子・讃留霊公(武卵王)の注記として「景行之朝依宣命讃岐国推途沖誅大魚即止住当国」とあります。
悪樓の名前はありませんが大魚を退治したのは日本武尊ではないようです。
ちなみに武卵王(たけかいこのみこ)の母が吉備武彦の娘吉備穴戸媛ということになます。
子孫には崇徳天皇が讃岐に流されたとき仮宮を提供した羽床高遠がいて、その娘綾局が崇徳天皇の落胤を産んで家を継いだことが記されています。

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#485自己レス3:婁の字の意味唐佛 mail 8/3 13:53
#483
直接関連ないかもしれませんが“悪樓”の“る”をあらわす文字は木へんに婁と書きますね。
婁は宿曜にいう二十八宿のひとつで、通称“たたら星”つまり産鉄にかかわる文字です。
日本武尊の伝説は産鉄に深く関わっているという説がありますね。
産鉄といえば、別項に書いた悪路王(阿黒王)の妻とされる鈴鹿(鉄の産地)御前とのからみからつながる気もするのです。
“アクル(ロ)”という言葉から鉄器文化関連の伝承との結びつきがありそうです。
ただし婁は動物でいうと“婁金狗”で犬になります。魚じゃないんです。
狗の文字からは崇徳天皇が天狗になった伝承が思い浮かびますが…
なんかまとまらないですね。

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#582(回答にあらず )スサノオ タキタ mail home9/29 01:43
#483
引っ越しで資料が無くなってしまったので、報告を控えていたのですが、東映アニメの『わんぱく王子の大蛇(おろち)退治』の、主人公はスサノオです。スサノオが退治する怪魚の名は(アクル?)失念しましたが、その語源は、格調など無い現代日本語(まさか英語のアクア?)からであると読みました。なぜか(いわゆる平成の)ゴジラ系の本で読んだのですが、書名も失念しました(ヤマダマサミ編集?)。なお、年長の東映アニメのファンならば知っていると思います。
答えそのものにならず、すみません。
しかし、その東映映画の怪物名の語源が、本来のこの設問の答えになるのでしょうか?

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#487摩伽羅?りん mail 8/4 22:56
#481
 仏経系の巨大魚で「摩伽羅」とか「摩かつ魚」、「摩かつ大魚」って呼ばれるモノがありますよね。
 makaraとakuruは、ちょっと音が似ているような気がします。両者の間には、何らかの関係があるのではないでしょうか?

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#492Re:摩伽羅?唐佛 mail 8/6 02:56
#487
接点がありました。

別レスに書いてますが、“悪樓”の伝説は金毘羅信仰と密接なつながりがあるようです。
江戸時代に書かれた金毘羅参詣のガイドブックに原型がみられます。
金毘羅といえば、摩(磨)羯と同種の巨大魚怪物(ワニ説もあり)ですよね。
このへんが接点かもしれません。
あと宿曜の立場からいえば、摩羯宮には別項で指摘した“楼”の字を分解したときに判らなかった“女宿”が属してますよね。

関連として、退治した側の武卵(殻)王の別名が讃留霊王になった伝承のほうが古いようです。
いちおう讃岐国に留めおかれたというのが、語源という説ですが、読みは“さる(れ)おう”ろいうことです。
猿田彦あるいは、音の相似から迦楼羅との関連も考えられそうです。

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#553馬鹿?りん mail 9/10 23:35
#487
 馬鹿といっても、誰かを嘲弄しているわけではありません。
 「馬鹿」という巫山戯た名の怪魚の伝承があったのです。『季刊幻想文学』誌への牛妖情報提供のため、地元岡山県の「牛鬼」関係の記事を捜して江戸時代の地誌類をあたっていて見つけてしまいました。

 現代語訳すると、概ねこんな話です。

 源平の昔、備前の国に「海の佐助」という武勇に優れた者があった。彼は九州鎮圧の官軍に従い西へ向かった。
 佐介は船には乗らず、馬に乗って海上を渡り先陣を進んだという。
 官軍は程なく賊を攻め従えた。佐介はふたたび馬に乗り、海面を歩ませて本国への帰途についた。
 ところが、備前の内海で「馬鹿」という魚が、彼の馬を害しようとして襲いかかってきた。
 馬はひるむことなく主人を陸まで送り届け、そして死んだ。
 この馬が死んだ場所には、堂が建てられ供養が行われた。
 現在、その場所は「馬塚」と呼ばれている。
 また、佐介の馬の正体は、龍であったという。

                出典: 高木太亮軒 1704 『和気絹』
                  (『吉備群書集成』に収録)
 
 『和気絹』に載ったこの話は、『源平盛衰記』に典拠を持っているそうですが、まだ私は原文を確認していません。

 私は「悪樓」も「馬鹿」も、「摩伽羅」から派生したモノ、同じ眷属のモノと言ってよいのでは無いかと考えます。
 「悪樓」と同一のモノらしい悪魚と「馬鹿」は、どちらも讃岐・吉備と中部瀬戸内地方の怪魚であり、海上交通を妨げるという「摩伽羅」の持つ属性を有しています。
 また、makaraからakuruへ、makaraからbakaへは、子音・母音の変換、語尾の欠落などが起これば、簡単に変換してしまいます。

 ちなみに、「摩伽羅」に関しては、こちら『妖怪世界』の「他頁紹介」からも行くことが出来る『形天工房』さんの「幻獣妄想記」に、とても濃い紹介がありました。
 http://www.sainet.or.jp/~fujiyama/genjyu/GENJYU.html

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#554牛窓の「牛鬼」りん mail 9/10 23:39
#553
 先のレスの文頭で触れた「牛鬼」も、この話題にまったく無縁とは言えないと思いますので、ここで補足しておくことにします。

 私が資料を捜していた「牛鬼」の登場する伝説は、中国地方に多く分布する神功皇后説話のひとつで、岡山県の邑久郡牛窓町に伝わっているものです。『和気絹』、『吉備温古秘録』、林道春の『本朝神社考』等に記事が載っています。
 
 こんな話です。

 神功皇后が遠征の帰途、現在の牛窓瀬戸を通りかかると、海底から「塵輪鬼」が化した大牛が現れて行く手を阻みました。
 あわや船が転覆するのではないかという時、住吉明神が老翁の姿で現れ、牛鬼の角をつかんで投げ倒したのです。
 おかげで皇后達の船は事無きを得ました。
 牛が転んだので、そのあたりは牛転(うしまろび)という地名になり、やがてこの名が訛って牛窓(うしまど)になったといわれています。

 また、牛窓にはこの伝説に関わる古跡が多く残されています。

 神話学者の大林太良先生は、『日本書紀』の日本武尊が制した「吉備穴済神」、「馬鹿」、牛窓の「牛鬼」等を、「海上の交通を妨害する邪悪な神、あるいは怪物が居るという考え 」が吉備に昔からあったことの表れと考えておられるようです。
      大林太良 1979 「古代吉備の伝説」による
      (林屋ほか 『古代吉備国論争(上)』 山陽新聞社刊 所載)

 牛窓がどんな所か気になる方は、こちらへどうぞ。
  http://www.hanshin.co.jp/ushimado/
  http://www.harenet.or.jp/ushimado/tenbou/index.html
 

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#555バカの語源りん mail 9/10 23:44
#553
 もひとつ自己レスです。

 バカ(この場合は人を嘲弄する方のバカ)の語源といえば、この一冊。

 松本修 1996 『全国アホ・バカ分布考』 新潮文庫版

 まさかと思いながらこの本を確認したら、気になる記述を見つけてしまいました。
 『広辞苑』の新村出先生は、サンスクリット語のMoha(痴)の漢訳「慕何」、またはMahallaka(無知・老弱)の漢訳である「摩訶羅」が 馬鹿の語源と考えていたそうです。これは、天野信影が『塩尻』、新井白石が『東雅』で唱えた説ともあります。(同書 P.266あたりを参照して下さい)

 「摩訶羅」と「摩伽羅」・・・
 両者の間に、読んだときの音以上の関係はあるのか?
 そして怪魚「馬鹿」とバカの関連は?

 あー、気になる。

 でもここで一休み。
 バカばっかり言ってると、ちょっと自分が情けなくなってきたし(苦笑)。

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#590「海鹿」りん mail 10/10 02:47
#553
 『寸簸之塵(きびのちり)』という別の地誌では、佐介の龍馬を害したのは「馬鹿」ではなくて「海鹿(イルカ)」だとされていました。
 いわゆるドルフィンの「海豚」と「海鹿」とは別ものなのだろうか?