長壁(おさかべ)
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妖火 長壁(おさかべ) 妖火

 姫路城天守閣に住んでおり、人と会うことを極端に嫌っているが、年に一度城主のみと対面すると云われている。そのときの容姿は老婆であるらしい。

 井原西鶴はその正体を於佐賀部狐(おさかべぎつね)とし、『西鶴諸国ばなし』巻一にて「その身は人間のようで、八百匹の眷属(鳥山石燕の画では蝙蝠)を使い、世間のことをよく知り、人の心を軽く弄ぶ」と云っている。

 また城下では長壁とは云わずハッテンドウと呼び、天守閣の脇に祠が建てられており、城主は常に祀りを怠らないと噂されていた。

 古い随筆を紐解くと「長壁の神」がいたと云う記述が見られるし、十二単衣に緋の袴を履き、身の丈一丈にも伸びるというオサカベヒメは歌舞伎で有名な役柄で、長壁は比較的良く知られていた妖怪だと見受けられる。

 今も天守閣から見下ろしているのだろうか。

(文責:カメヤマ)

・ 参考文献:今昔画図続百鬼
・ 属性:
・ 出現地区:近畿地方,兵庫県
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2000.7.21 22:44