天井嘗(てんじょうなめ)
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妖火 天井嘗(てんじょうなめ) 妖火

 天井嘗は人の居ないとき、あるいは寝静まった夜に現れ、天井を長い舌でペロペロと嘗める。嘗めてシミを残すのである。決して天井を綺麗にするわけではない。
 その体は異様に痩せていて背は高く、はたきの様な平たい髪と指を持ち、肉食獣系の顔から長い舌が覗く。そして何故か上半身は裸である。

 館林藩秋本の家中・田中勇之進という侍がこれを捕まえ、場内の高い天井に張った蜘蛛の巣を嘗め取らせたという逸話が残っている。

 あらためて天井を見上げてみると、慥かに不可思議な模様や、異様な形状のシミを発見出來るであろう。昔の人は天井のシミにさえ、豊かな想像力を働かせ、妖怪を産み出していたのである。

(文責:カメヤマ)

・ 参考文献:百器徒然袋
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・ 出現地区:関東地方,群馬県
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2000.7.21 22:44