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鎌鼬・窮奇(かまいたち)
つむじ風に乗って現れるイタチに似た妖怪。両腕には鋭い鎌を持ち、通り過ぎると刃物で斬りつけたような傷を負う。時には骨まで達する場合もあるが、直後は痛みも感じないし出血もない。しかししばらくすると激痛が襲い苦しむことに。何故か下半身を狙うことが多いそうだ。 「構え太刀」の宛字とも云われているが、不思議話を集めた江戸時代の随筆集『耳嚢』には、鎌鼬が動物の姿をしていると想像される記述がある。「つむじ風に巻かれている子供を助けたところ、着物の背中一面にイタチの足跡のようなものが無数につけられていた」と云うことらしい。 岐阜県では鎌鼬は三体一組で現れると云われ、一体目が人を倒し、二体目が斬りつけ、三体目が薬をつけていくから傷口は痛まないと伝えられている。 鳥山石燕は鎌鼬を中国の妖怪である窮奇(きゅうき)という字をあてている。しかし鎌鼬と窮奇、実は全く似ても似つかない。『山海経(西山経)』では、ケイ山に住み、針鼠の毛を持ち、犬のように吠え、牛のような人を喰らう怪獣と紹介され、また『春秋左伝』では四境(四方の国境)を守護する怪神であるという。 鎌鼬は山間部で遭遇することが殆どで、山風などが何らかの作用で一部真空化し、それが肌に触れ、パックリとした切り口の傷が出來るのではないかと考え、自然現象のひとつという説もあるが、果たしてそのようなことが起こり得るのか、またそれで凡ての鎌鼬症例が片づくとも思えない。やはり説明の付かない現象は今でも起こり得るのだろう。 (文責:カメヤマ)
参考文献:画図百鬼夜行,全国妖怪事典 属性:里, 出現地区:関東地方,中部地方,近畿地方,四国地方,栃木県,東京都,新潟県,長野県,岐阜県,和歌山県,高知県, 小説など: その他キーワード: 2000.7.21 22:42
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