乳鉢坊(にゅうばちぼう)
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妖火 乳鉢坊(にゅうばちぼう) 妖火

 乳鉢坊は鳥山石燕の画に於いて、見様によっては鉢を被っているように見えなくはないが、実は摺鉦という楽器の付喪神である。摺鉦は下座音楽(歌舞伎で、芝居の効果音楽など、助奏として、下座で演奏する音楽)・祭礼の囃子・念仏踊りなどで用いる金属製の皿形の打楽器で、直径10cmほど、つかみ鉦と下げ鉦があり、槌形の桴(ばち)で打つか、摺って音をならす。当たり鉦ともちゃんちきとも云う。この摺鉦を頭に被ってる姿で描かれている。

 乳鉢坊は、何故か瓢箪小僧と一緒に出現し、瓢箪小僧の姿を見て蒼冷め、乳鉢坊の桴の音に怖れおののくのである。偶に二体セットで現れる妖怪いるので然程珍しくはないのだが、鉦と瓢箪の組み合わせに何か意味があるのかも知れない。

(文責:カメヤマ)

・ 参考文献:百器徒然袋,日本妖怪大全
・ 属性:器物
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2000.7.21 22:44